絵本「こんとあき」はぬいぐるみの「こん」と、赤ちゃんの頃からずっと一緒の女の子「あき」の小さな冒険と絆を描いた物語。大人が読んでもこんの健気さとあきの成長に、目頭が熱くなってしまう名作です。林明子さんの傑作、こんとあきをご紹介します。
こんとあき
作: 林 明子
出版社: 福音館書店
対象年齢:4才から
「こんとあき」はぬいぐるみのこんと女の子のあきが織りなすストーリー。ぬいぐるみと女の子が主人公ですが、ドキドキする展開に男の子も楽しめる絵本です。
読み聞かせは4才からとなっていますが、確かなストーリーでボリュームが結構あるので、もっと大きい年長さんもしっかりと楽しめます。
赤ちゃんの頃からあきを見守っている狐のぬいぐるみこん。あきの成長とともに、遊び相手のこんは綻びてきてしまいます。
そこで「さきゅうまち」にすむおばあちゃんに綻びを直してもらいに行くことに。「わたしもつれてって」というあきとともに電車に乗って出かけるのですが…というお話。
作者の林明子さんは「はじめてのおつかい」など数々の名作絵本の作家さんです。子どもの可愛らしさや健気さを描くことには定評があり、とにかく絵がお上手!
写実とデフォルメのバランスが素晴らしく、どのページもこれぞ絵本!という素敵な絵で溢れています。
この絵本でまず心を打たれるのが、こんの健気さです。狐のぬいぐるみであるこんは、あきが生まれる前に、さきゅうまちからやって来ました。おばあちゃんが生まれてくる赤ちゃんのために作ったぬいぐるみです。赤ちゃんだったあきがだんだん大きくなっても、あきを妹のように大切にします。
自分が困ったときでも、あきを守ろうと奮闘するその健気な様子に、大人も子どもも応援せずにはいられません。
そして次に心をギュッと掴まれるのは、後半に見せるあきの成長です。ずっとこんに守られてきたあきが、こんのピンチで見せる強さには、読んでいる大人の方が感動してしまうかもしれません。
赤ちゃんの成長を見守りながら一緒に育つこんですが、守る立場だった赤ちゃんは次第にかけがえのない存在になり確かな絆を結んでいく。
その様子は、どこかペットと子どもの成長と絆に似たものを感じます。ペットとお子さんのいらっしゃるご家庭ではより感情移入できるかもしれません。
どうか子どもだけで電車に乗せるのはおかしい!などという野暮なことが言いっこなしで、ファンタジーの世界を楽しんでみてください。
可愛いこんのぬいぐるみも
大人気絵本「こんとあき」から、狐の「こん」のぬいぐるみも発売されています。
絵本を読んでファンになったお子様へのプレゼントに喜ばれそうですね!