「くまのコールテンくん」は緑色のコールテンのズボンを履いた小さなくまのぬいぐるみ。おもちゃ売り場の棚から誰かがおうちに連れて行ってくれるのをずっと待っています。コールテンくんの冒険と素晴らしい出会いが感動的な、ロングセラー絵本をご紹介します。
くまのコールテンくん
作: ドン・フリーマン
訳: 松岡 享子
出版社: 偕成社
対象年齢:3・4才から
原書の題名は「Corduroy」
「くまのコールテンくん」はアメリカの絵本作家、ドン・フリーマン作の名作です。日本では1975年に発行され、多くの子どもたちに愛されるロングセラーとなっています。
ぬいぐるみと女の子の出会いの物語なので、女の子向け絵本かと思うかもしれませんが、決してそうではありません。男の子も女の子も関係なく、好奇心旺盛なコールテンくんの冒険と素晴らしい出会いを楽しめるストーリーです。
小さなくまのぬいぐるみ、くまのコールテンくんは、デパートのおもちゃの売り場で「早く誰かが自分をうちにつれていってくれないかなあ…」と思いながら暮らしています。ところがコールテンくんを買おうとする人はなかなか現れません。
ある日「ずっと前からこんなくまが欲しかったの」という女の子が現れましたが、女の子のお母さんは、コールテンくんのボタンが一つ取れていることを指摘して買ってくれません。
スボンのボタンが取れていることに気づいたコールテンくんは、夜のデパートの中をボタン探しの冒険に出かけ…というお話。
物語の最後には、ずっと待ち望んでいた素晴らしい出会いが待っています。この子に出会うために、ずっとおもちゃ売り場に残っていたんだね、と思えるラスト。最後のページでコールテンくんが漏らす一言と幸せな展開に、気持ちが暖かくなります。
ロングセラーの洋書絵本は、家族といえば白人の両親とその子どもという設定が透けて見えるものが多いのですが、この絵本は違います。
はっきりとは書かれていませんが、コールテンくんが出会った女の子リサは有色人種で、お父さんは描かれずワーキングマザー風のお母さんのみが登場します。おそらく発行当時は、かなり画期的なキャラクター設定だったのではないかと想像できます。
途中、何か新しい経験をする度に「これって○○かな?僕ずっと○○してみたいと思ってたんだ!」と呟くコールテンくんが愛おしく、思わず応援したくなります。
そして、問わず語りになっていたその言葉に返事をくれる大事な友達ができた瞬間は、読み手も聞き手もきっと胸が熱くなることでしょう。
コールテンくんのクリスマス
原案: ドン・フリーマン
作: B.G.ヘネシー
絵: ジョディー・ウィーラー
訳: 木坂 涼
出版社: 好学社
こちらは「くまのコールテンくん」の作者、ドン・フリーマン原案、B.G.ヘネシー作の絵本です。日本での発行は2021年10月。
こちらは「くまのコールテンくん」がリサに出会う前の前日譚となっています。デパートのおもちゃ売り場で、誰かに家に連れていってほしいと願っているコールテンくんは、まだ緑色のズボンを履いていません。
どうやってみどり色の素敵なズボンを見つけたのか、気になる方はこの絵本を手に取ってみてください!
コールテンくんのポケット
作: ドン・フリーマン
訳: 木坂 涼
出版社: 好学社
こちらはドン・フリーマン作、木坂涼さんの訳の絵本です。日本での発行は2022年10月。
リサとおかあさんといっしょに、ランドリーへ行ったコールテンくんですが、自分の服にポケットがないことに気が付いて…というお話。
今度はボタンではなく、ポケットになる布をさがす冒険に出るコールテンくんですが、大好きなリサのところへ再び戻れるでしょうか。
子どもとぬいぐるみの絆は、大人には計り知れないものがありますね。コールテンくんのシリーズは、そんな絆を思い出させてくれる素敵なお話です。
幸せな読後感に浸れる名作なので、年中さんくらいからの読み聞かせ絵本として手に取ってみてください。