子どもは「くりかえし」のある絵本が大好き!パターンを変えてストーリーを構成することでテーマを強調し、クライマックスへ向けて効果的に聞き手の期待感を膨らませます。昔話に繰り返しが多いのはこんな意味があるんですね。

3〜4才児が好きな繰り返しの楽しい外国の絵本をまとめてみました。有名なお話ばかりなのでいろいろな種類の絵本が出版されていますが、なるべく元の昔話に近いと思われるロングセラーをピックアップします。

おすすめの絵本

おおきなかぶ

この絵本は

おおきなかぶ ロシアの昔話
再話: A・トルストイ
訳: 内田 莉莎子
画: 佐藤 忠良
出版社: 福音館書店
対象年齢:3才から

「うんとこしょ どっこいしょ」という掛け声でお馴染みのおおきなかぶのお話です。

おじいさんが植えたかぶは
「あまい あまい かぶになれ。おおきな おおきな かぶになれ」
という願いどおりに大きく大きく育ちます。

大きく育ちすぎてなかなか抜けないかぶを抜くのに、おじいさんはおばあさんを呼んできて…というお話。

仲間を呼んできて、掛け声と一緒にかぶを引っ張り、抜けるかな?まだ抜けない!という繰り返しが楽しいお話です。古さを全く感じさせないリズムの良い訳は、読み聞かせにぴったり!

最後にかぶが抜けたときの緊張からの解放のスッキリ感!

みんなで美味しくいただく楽しさも相まって、何度でも読みたくなる名作です。

お子さんと声を揃えて「うんとこしょ どっこいしょ」と言ってみると楽しさ倍増です。

三びきのやぎのがらがらどん

この絵本は

三びきのやぎのがらがらどん ノルウェーの昔話
絵: マーシャ・ブラウン
訳: 瀬田 貞二
出版社: 福音館書店
対象年齢:4才から

「三びきのやぎのがらがらどん」は幼稚園、保育園の読み聞かせや劇遊びに大人気!繰り返しの面白さが味わえるノルウェーの昔話です。ちょっと怖い「トロル」が出てくるところも子どもたちの心を掴むポイントです。

三びきのやぎの設定も楽しく、小さいやぎ、中くらいのやぎ、大きなやぎの名前はどれも「がらがらどん」。

ここで、まず「え?」となりますよね。

山のくさばでふとろうと(美味しい草を食べようと)山を登っていきますが、そこへ行くには橋を渡らなければなりません。橋の下にはおおきなトロルが住んでいて…というお話。

このお話の醍醐味は、クライマックスに近づくにつれて高まるドキドキ感。

まずは小さなやぎ、その次は中ぐらいのやぎが橋を渡るのですが、どうやって切り抜けるのかという期待感とハラハラ感で、聞き手の子どもたちの表情は真剣そのもの。そして最後に登場した大きなやぎのカッコよさと言ったら!

4才からとなっていますが、3才くらいから楽しめる絵本です。古い絵本なので言い回しが独特な部分もありますが、そこが素晴らしい味となっています。

読み聞かせの際は、それぞれのやぎが橋を渡る音の違いを表現して楽しんでみてください。

てぶくろ

この絵本は

てぶくろ ウクライナ民話
絵: エウゲーニー・M・ラチョフ
訳: 内田 莉莎子
出版社: 福音館書店
対象年齢:3才から

雪の中にぽつんと落ちていたてぶくろ。最初に見つけたねずみはそこにもぐりこんで、そこで暮らすことに。

次にやってきたのは…というお馴染みの昔話です。

「僕も入れてよ」「どうぞ」というやりとりの繰り返しや、次は誰がくるのかな?という期待感。

こんなに入って大丈夫?というハラハラ感が楽しめて、年少さんくらいの読み聞かせや、劇遊びにもよく使われる人気のお話です。

クライマックスまでのワクワク、ドキドキ感と、最後の意外性を楽しんでみてください。

3びきのくま

この絵本は

3びきのくま
作: L・N・トルストイ
絵: バスネツォフ
訳: 小笠原 豊樹
出版社: 福音館書店
対象年齢:3才から

森小屋で暮らしている、こぐま、中ぐらいのお母さんくま、大きなお父さんくまの3匹のくま。朝食のおかゆがとても熱いのでおかゆが冷めるまで散歩に出かけます。

留守の間にやってきたのは金髪の女の子。

女の子はくまの大きさに合わせた、大きなおわん、中ぐらいのおわん、小さなおわんを順に試して、ちょうど良い小さなおわんのおかゆを食べてしまいます。椅子、ベットも同じように順に試していき…というお話。

帰ってきたくまたちが、女の子の残した跡を辿りながら会話する様子が楽しくちょっと気の毒な、読み聞かせにぴったりなお話です。

1962年発行のロングセラー。人気の昔話なので、いろいろなバージョンも出版されています。お気に入りのものを見つけてみてください。

三びきのこぶた

この絵本は

三びきのこぶた イギリス昔話
絵: 山田 三郎
訳: 瀬田 貞二
出版社: 福音館書店
対象年齢:3才から

1967年発行のロングセラー。

3匹のこぶたが家を出て自分たちの家を作るお馴染みのストーリー。一番上のこぶたは藁で、2番目のこぶたは木の枝で、3番目のこぶたはレンガで時間をかけて家を作ります。そこへおおかみがやってきて…。

3びきのこぶたの絵本はたくさんのパターンが発行されていますが、あえてこのロングセラーをおすすめします。

ストーリーが簡略化されていないので、おおかみが退治されるまでのエピソードがいろいろあります。

おおかみが逃げ出しておしまいという、曖昧な終わり方ではないですが、その分昔話の本質を垣間見ることができます。ソフトなエンディングがお好みの方は、他のバージョンを探してみてください。

おおかみと七ひきのこやぎ

この絵本は

おおかみと七ひきのこやぎ グリム童話
絵: フェリクス・ホフマン
訳: 瀬田 貞二
出版社: 福音館書店
対象年齢:4才から

皆さんよくご存知の、グリム童話のおおかみと七ひきのこやぎのお話です。

おおかみが留守番のこやぎたちをなんとか騙そうと、お母さんやぎの真似をする「くりかえし」が子どもたちに人気です。賢いこやぎたちはおおかみを何度か追い払いますが、最後はとうとうドアを開けてしまって…。

その後のお母さんやぎのおおかみへの対応にはいろいろなバージョンがありますが、1967年発行のこの絵本では、おおかみのお腹に石を詰めしっかり退治するところまで描かれています。

ソフトランディングがお好みの方は、別バージョンの7ひきのこやぎの絵本を探してみてください。

グリム童話らしさや、元の昔話の雰囲気を味わいたい方にはおすすめです。