松谷みよ子さん作「モモちゃんとアカネちゃんの本」シリーズは、1964年に初版が刊行されて以来たくさんの子どもたちに読み継がれた名作童話です。大人も子どもも楽しめる「モモちゃんとアカネちゃん」をご紹介します。
「モモちゃんとアカネちゃんの本」シリーズ
モモちゃんとアカネちゃんの本は全6巻です。
著者: 松谷 みよ子
画家: 菊池 貞雄 伊勢 英子
出版社: 講談社
対象年齢:7〜8才がおすすめ
赤ちゃんだったモモちゃんが成長し妹のアカネちゃんがうまれ…シリーズを通してモモちゃんとアカネちゃんの成長を見ることができるお話。
読み聞かせもできる珠玉の童話集ですが、著者の松谷みよ子さんの自伝的要素もあり、育児日記に記された子どもたちの感性豊かな言葉を元にしてできた作品でもあります。
シリーズ3作目の「モモちゃんとアカネちゃん」では離婚を題材にしたお話もあり、当時としては革新的な作品だったことでしょう。
全体としては、子どもの言葉や等身大の姿がいきいきと描かれた素晴らしいお話ばかり。
短い童話が詰め込まれており、一人で読むなら小学校2〜3年生くらいがおすすめですが、読み聞かせるなら幼児から楽しむことができます。
短いお話の絵本も発行されおり、さらには文庫版も出版されていますが、絵本から児童書への橋渡しとして、小学生が手に取りやすい懐かしい人形の表紙のハードカバー版をご紹介します。
「モモちゃんとアカネちゃんの本」の順番は
「モモちゃんとアカネちゃんの本」シリーズの順番は
- ちいさいモモちゃん
- モモちゃんとプー
- モモちゃんとアカネちゃん
- ちいさいアカネちゃん
- アカネちゃんとお客さんのパパ
- アカネちゃんのなみだの海
となっています。
赤ちゃんだったモモちゃんから始まる1作目。すっかりお姉ちゃんになった最終作。大人になって読み返すと、別の意味も見えてくる深いシリーズです。
それでは「モモちゃんとアカネちゃん」の本を順番にご紹介します。
ちいさいモモちゃん
可愛い女の子モモちゃんが、赤ちゃんから3才になるまでの童話を詰め込んだシリーズ第1作。
モモちゃんとお友達のコウちゃんとのお話や子猫のプーとの出会いなど、日常と空想の世界を行き来しながら進むお話は小さなお子さんを夢中にさせます。
幼児の頃に読み聞かせを、小学生で読書をという橋渡しの本としてもおすすめです。
モモちゃんとプー
このお話では、モモちゃんの妹のアカネちゃんが誕生します。猫のプーには、ジャムというお友達ができ、楽しいお話は登場人物?が増えてさらに賑やかに。
読みやすい名文とともに綴られる童話に、子どもの頃夢中になった大人も多いのではないでしょうか。私もその一人ですが、自信を持っておすすめできるシリーズ第2作です。
モモちゃんとアカネちゃん
赤ちゃんのアカネちゃんと、小学校1年生になったモモちゃんのお話です。
そしてこの本では、両親の離婚が童話として象徴的に描かれています。子どもの頃読んだときはよく分からなかったのですが、今読むとその表現方法にうなるものがあります。
もちろん童話としての楽しさも健在です。
ちいさいアカネちゃん
ママと一緒に引っ越したモモちゃんとアカネちゃん。
森のくまさんの家に行ったり、おおかみと遊んだりファンタジーと子どもの日常の境目が曖昧なところがこのシリーズの醍醐味。小さいアカネちゃんの感性が素敵です。
アカネちゃんとお客さんのパパ
アカネちゃんはもうすぐ3才、モモちゃんはすっかりお姉さんに。そして猫のプーとジャムの間には可愛い子猫が!
楽しい童話が詰め込まれた第5作。
アカネちゃんのなみだの海
アカネちゃんはもうじき1年生、モモちゃんはすっかり大きくなり…というところからの最終巻。
童話なのですが、松谷さんの2人の娘さんのために書かれたお話なのでしょう。アカネちゃんの悩みや辛いお話も含まれています。それを童話として昇華させる松谷さんの筆力には驚くばかりです。
子どもの頃読んだ記憶のある方も、最終巻までの憶えている方は少ないと思います。大人になり、親の立場になってから読むとまた違う見方ができる素晴らしい作品です。
「モモちゃんとアカネちゃん」のシリーズは文庫版もあるので、読み返してみてはいかがでしょうか。こちらの文庫の絵は、「よるくま」 の酒井駒子さんです。