怖いもの見たさで好奇心が抑えられない…そんな気持ちに覚えはありますか?少しだけ怖い絵本を見たい、でも見たくない…そんな葛藤を持つ子もいるでしょう。そんな希望に応えられるような少しだけ怖い、ドキドキする絵本をピックアップしました。怖い絵本の効能と注意事項も考えてみます。

少し怖い絵本

怖い絵本の効能と注意事項

こわいお話。それは禁断の香り…。見たいような見たくないような好奇心で怖い絵本を読んで!とねだるお子さんもいるのではないでしょうか?

少しだけ怖いお話は日常を描いた絵本とは異なり、実際には見えない不思議な世界を覗こうと、大きく想像力を膨らませる必要があります。ある意味子どもの想像力を伸ばす力があると言えるでしょう。

一部の怖い話は冒険活劇のような側面があり、緊張と緩和の落差が大きいことで、ドキドキと最後のホッとする気持ちを普通の絵本より感じやすいようです。

そういうお話では、怖いものに立ち向かう勇気の大切さを知るきっかけになることも。

また、少しだけ怖いお話を聞くときの子どもの集中力は相当なものです。

絵本に慣れていないお子さんは、普通の絵本ではお話の世界に入り込むことが難しく集中できないことがあります。しかしドキドキするお話を聞くことで、絵本に没入する体験ができるという場合もあります。

怖い絵本を読み聞かせるときの注意事項

そんな効能がある一方、「怖い」と感じるレベルは個人差が大きいということは必ず知っておくべきです。

間違っても嫌がる子どもに無理に聞かせるようなことはあってはいけません。トラウマを与えるような怖いお話は避けるべきですよね。

怖くて眠れない、トイレに行けない。そうなってはいけませんから、最後はほっとする結末のお話を選び、更にお子さんの性格を把握して読むかどうかを考えることをおすすめします。

本物のホラーや、怖がらせるしつけ絵本は私自身も苦手なので、この記事ではご紹介しません。子どもに怖いお話をねだられたときに読んであげる、すこーしだけ怖い絵本に興味のある方はご覧ください。

おんぶおばけ

この絵本は

作: 松谷 みよ子
絵: ひらやま えいぞう
出版社: 童心社
対象年齢:2才から

松谷みよ子さんの小さな子に語りかけるような文体で、子どもの心をぐっと掴むちょっとだけ怖いおんぶおばけのお話。
対象年齢は2才から年少さんくらいがちょうどいいくらいで、最後はとても可愛らしい結末となっています。

絵も可愛らしいので、怖いお話に耐性がないお子さんも馴染める絵本です。

とはいえおんぶおばけが出てくるよく知られた昔ばなしですので、最初はちょっとドキドキするかも。幼稚園で年少さんに読み聞かせたときは、初めは水を打ったようにシーンとして聞いてくれていました。

緊張から緩和の流れがはっきりとある、ハッピーエンドの昔ばなしです。

おばけやしき

この絵本は

作・絵: ジャン・ピエンコフスキー
訳: でんでんむし
出版社: 大日本絵画

ジャン・ピエンコフスキー作の名作しかけ絵本です。ある程度本を大切に扱える年中さんから年長さんくらいの年齢が楽しめるピークかと思いますが、大人でもしかけの面白さをアートのように楽しむことができます。

いろいろなモンスターやおばけが、しかけを動かすごとにびっくり箱のように飛び出してきます。

題材はおばけやしきなので怖いといえば怖いのですが、どちらかというと面白い、しかけを楽しむ絵本となっています。

怪物園

この絵本は

作: junaida
出版社: 福音館書店
対象年齢:小学校低学年

装丁の美しさと、怪物が行進する圧倒的画力に目を奪われる本「怪物園」。

細部まで表現された怪物たちは皆個性があり、一体一体の絵を見るだけでも時間が過ぎてしまいます。

この本の怖いところはお話の世界の設定にあります。ある日、怪物園から外の世界へ抜け出した怪物たちは、人間の住む街を行進し始めます。

外に怪物がいるせいで外に出られなくなってしまった人間の子どもたちは、退屈して空想の世界で遊びはじめ…というお話。

空想と現実がページを繰るごとに入れ替わる構成になっているのですが、暗い現実と子どもたちの明るい空想の対比が際立っており、まるで今の時代を象徴しているようで胸が痛くなります。

「怪物たちが行進を続ける世界の方が現実」という不気味さと怪しさが、絵の美しさとともに心に残る本です。

あおい玉 あかい玉 しろい玉

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この絵本は

絵: 太田 大八
再話: 稲田 和子
出版社: 童話館出版
対象年齢:年長さんから小学校低学年くらい

ご紹介した4つのお話の中では、怖さ度数が一番高い絵本。

お話は、日本昔話の「3枚のおふだ」に非常に近いストーリーで、おふだの代わりに3色の玉が登場します。

お寺の小僧さんは山で栗を拾っているうちに日が暮れてしまい、山の中の家に泊めてもらうのですが、そこはおにばばが住んでいて…というお話。

途中「便所の神様」が出てきて、おにばばから逃げるときに役に立つ3つの玉を貰います。何とか寺に逃げ帰り、和尚さんに匿われるのですが、その和尚さんの頼りになることと言ったら!

怖いですが、冒険活劇のようなジェットコースターぶりが子どもの心をつかみます。年長さんや低学年くらいの年齢でも、息を飲みお話の世界に入ってくれるでしょう。

方言が多用されているので読み聞かせ難易度は高いですが、そこが味となっています。最後はほっとして終わるので、安心してください。